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2018-09-29

【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (29/30)

(564字。目安の読了時間:2分) 「どぎゃん、したと?」 「お父さんが、のう……警察い行きなはった」  私は、この時の悲しみを、一生忘れないだろう。 通草のように瞼が重くなった。 「おッ母さんな、警察い、ちょっと行って来ッで、ええ子して待っとれ」 「わしも行く。――わしも云うたい、お父さん帰るごと」 「子供が行ったっちゃ、おごらるるばかり、待っとれ!」 「うんにゃ! うんにゃ! 一人じゃ淋(さび)しか!」 「ビンタばやろかいッ!」  母が出て行った後、私は、オイオイ泣いた。 階下のおばさんが、這い上って来て、一緒に傍に横になってくれても、私は声をあげて泣いた。 「お父さんが云わしたばい、あア、おばっさん! 戦争の時、鑵詰に石ぶち込んで、成金さなったものもあるとじゃもの、俺がとは砂粒よか、こまかいことじゃ云うて……」 「泣きなはんな、お父さんは、ちっとも悪うはなかりゃん、あれは製造する者が悪いんじゃけのう」 「どぎゃんしても俺や泣く! 飯ば食えんじゃなっか!」  私は、夕方町の中の警察へ走って行った。  唐草模様のついた鉄の扉に凭れて、父と母が出て来るのを待った。 「オンバラジャア、ユウセイソワカ」私は、鉄の棒を握って、何となく空に祈った。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://goo.gl/6ZxJiY ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/1814_24391.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail [PR] Facebookを使って、みんなに知られず婚活ができる神アプリ!毎月4000人以上に恋人ができている実績あり。まずは試してみて! ▼ ▽ ▼ https://goo.gl/kvdRBG ============================================== Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*

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