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2018-09-25

【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (25/30)

(628字。目安の読了時間:2分) 学校へ行くと、見た事もない美しい花と、石版絵がたくさん見られて楽しみであったが、大勢の子供達は、いつまでたっても、私に対して、「新馬鹿大将」を止めなかった。 「もう学校さ行きとうはなか?」 「小学校だきゃ出とらんな、おッ母さんば見てみい、本も読めんけん、いつもかつも、眠っとろうがや」 「ほんでも、うるそうして……」 「何がうるさかと?」 「云わん!」 「云わんか?」 「云いとうはなか!」  刀で剪(き)りたくなるほど、雨が毎日毎日続いた。 階下のおばさんは、毎日昆布の中に辻占と山椒を入れて帯を結んでいた。 もう、黄いろいご飯も途絶え勝ちになった。 母は、階下のおばさんに荷札に針金を通す仕事を探してもらった。 父と母と競争すると母の方が針金を通すのは上手であった。  私は学校へ行くふりをして学校の裏の山へ行った。 ネルの着物を通して山肌がくんくん匂っている。 雨が降って来ると、風呂敷で頭をおおうて、松の幹に凭れて遊んだ。  天気のいい日であった。 山へ登って、萩(はぎ)の株の蔭(かげ)へ寝ころんでいたら、体操の先生のように髪を長くした男が、お梅さんと云う米屋の娘と遊んでいた。 恥ずかしい事だと思ったのか私は山を降りた。 真珠色に光った海の色が、チカチカ眼をさした。  父と母が、「大阪の方へ行ってみるか」と云う風な事をよく話しだした。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://goo.gl/6ZxJiY ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/1814_24391.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail [PR] 読んだ本の内容を、見やすい年表で整理しよう。日本最大の年表作成サービス「THE TIMELINE」 ▼ ▽ ▼ https://the-timeline.jp ============================================== Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*

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