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2018-09-10

【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (10/30)

(618字。目安の読了時間:2分) 「ぬくうなった、風がぬるぬるしよる」 「小便がしたか」 「かまうこたなか、そこへせいよ」  桟橋の下にはたくさん藻や塵芥(じんかい)が浮いていた。 その藻や塵芥の下を潜って影のような魚がヒラヒラ動いている。 帰って来た船が鳩(はと)のように胸をふくらませた。 その船の吃水線に潮が盛り上ると、空には薄い月が出た。 「馬の小便のごつある」 「ほんでも、長いこと、きばっとったとじゃもの」  私は、あんまり長い小便にあいそをつかしながら、うんと力んで自分の股間を覗いてみた。 白いプクプクした小山の向うに、空と船が逆さに写っていた。 私は首筋が痛くなるほど身を曲めた。 白い小山の向うから霧を散らした尿が、キラキラ光って桟橋をぬらしている。 「何しよるとじゃろ、墜ちたら知らんぞ、ほら、お父さんが戻って来よるが」 「ほんまか?」 「ほんまよ」  股間を心地よく海風が吹いた。 「くたびれなはったろう?」  母がこう叫ぶと、父は手拭で頭をふきながら、雁木の上の方から、私達を呼んだ。 「うどんでも食わんか?」  私は母の両手を握って振った。 「嬉しか! お父さん、山のごつ売ったとじゃろなア…………」  私達三人は、露店のバンコに腰をかけて、うどんを食べた。 私の丼の中には三角の油揚が這入っていた。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://goo.gl/6ZxJiY ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/1814_24391.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail [PR] 読んだ本の内容を、見やすい年表で整理しよう。日本最大の年表作成サービス「THE TIMELINE」 ▼ ▽ ▼ https://the-timeline.jp ============================================== Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*

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