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2018-09-09

【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (9/30)

(580字。目安の読了時間:2分)  その広場を囲んで、露店のうどん屋が鳥のように並んで、仲士達が立ったまま、つるつるとうどんを啜っていた。  露店の硝子箱(ガラスばこ)には、煎餅や、天麩羅がうまそうであった。 私は硝子箱に凭(もた)れて、煎餅と天麩羅をじっと覗(のぞ)いた。 硝子箱の肌には霧がかかっていた。 「どこの子なア、そこへ凭れちゃいけんがのう!」  乳房を出した女が赤ん坊の鼻汁を啜りながら私を叱(しか)った。  4 山の朱い寺の塔に灯がとぼった。 島の背中から鰯雲が湧いて、私は唄をうたいながら、波止場の方へ歩いた。  桟橋には灯がついたのか、長い竿(さお)の先きに籠をつけた物売りが、白い汽船の船腹をかこんで声高く叫んでいた。  母は待合所の方を見上げながら、桟橋の荷物の上に凭れていた。 「何ばしよったと、お父さん見て来たとか?」 「うん、見て来た! 山のごツ売れよった」 「ほんまな?」 「ほんま!」  私の腰に、また紫の包みをくくりつけてくれながら、母の眼は嬉(うれ)し気であった。 「ぬくうなった、風がぬるぬるしよる」 「小便がしたか」 「かまうこたなか、そこへせいよ」  桟橋の下にはたくさん藻や塵芥(じんかい)が浮いていた。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://goo.gl/6ZxJiY ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/1814_24391.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail [PR] Facebookを使って、みんなに知られず婚活ができる神アプリ!毎月4000人以上に恋人ができている実績あり。まずは試してみて! ▼ ▽ ▼ https://goo.gl/kvdRBG ============================================== Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*

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