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2018-06-28

【ブンゴウメール】夢十夜 (28/29)

(678字。目安の読了時間:2分)

 庄太郎は元来閑人の上に、すこぶる気作な男だから、ではお宅まで 持って参りましょうと云って、女といっしょに水菓子屋を出た。
それぎり帰って来なかった。

 いかな庄太郎でも、あんまり呑気過ぎる。
只事じゃ無かろうと云って、親類や友達が騒ぎ出していると、七日 目の晩になって、ふらりと帰って来た。
そこで大勢寄ってたかって、庄さんどこへ行っていたんだいと聞く と、庄太郎は電車へ乗って山へ行ったんだと答えた。

 何でもよほど長い電車に違いない。
庄太郎の云うところによると、電車を下りるとすぐと原へ出たそう である。
非常に広い原で、どこを見廻しても青い草ばかり生えていた。
女といっしょに草の上を歩いて行くと、急に絶壁の天辺へ出た。
その時女が庄太郎に、ここから飛び込んで御覧なさいと云った。
底を覗(のぞ)いて見ると、切岸は見えるが底は見えない。
庄太郎はまたパナマの帽子を脱いで再三辞退した。
すると女が、もし思い切って飛び込まなければ、豚に舐(な)めら れますが好うござんすかと聞いた。
庄太郎は豚と雲右衛門が大嫌だった。
けれども命には易えられないと思って、やっぱり飛び込むのを見合 せていた。
ところへ豚が一匹鼻を鳴らして来た。
庄太郎は仕方なしに、持っていた細い檳榔樹の洋杖で、豚の鼻頭を 打った。
豚はぐうと云いながら、ころりと引っ繰り返って、絶壁の下へ落ち て行った。
庄太郎はほっと一と息接いでいるとまた一匹の豚が大きな鼻を庄太 郎に擦りつけに来た。
庄太郎はやむをえずまた洋杖を振り上げた。

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