ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」のブログです

イワンの馬鹿(29/61)

(485字。目安の読了時間:1分) イワンは頭をふりました。「いいや、わしはもう兵隊はこさえない。」とイワンは言いました。「でもお前はこさえてやると約束したじゃないか。」「約束したのは知っているが、わしはもうこさえない。」「なぜこさえない、馬鹿…

イワンの馬鹿(28/61)

(527字。目安の読了時間:2分) タラスは馬車一台に金貨をつみ込んで、商売をしに出かけました。 こうして二人の兄は出て行きました。シモンは戦に、タラスは商売に。そして、シモンは一国を平げて自分のものにし、タラスは商売で、たくさんお金をもうけま…

イワンの馬鹿(27/61)

(493字。目安の読了時間:1分) タラスはイワンに、こう言いました。「お前はどこから金貨を手に入れたのだね。資本さえありゃ、おれは世界中の金をみんな手に入れることが出来るんだがな。」 イワンはおどろきました。そして言いました。「そりゃ本当かね…

イワンの馬鹿(26/61)

(487字。目安の読了時間:1分) 「だがいいかね、わしが兵隊をこさえたらお前さんはすぐつれて行かなきゃいけないよ。兵隊をこっちで養うことになると、一日で村中食いつぶされてしまうからな。」 シモンは、その兵隊をみんなつれて行くことを約束しました…

イワンの馬鹿(25/61)

(538字。目安の読了時間:2分) イワンは兵隊たちに、音楽を奏し唄を歌うように言いつけました。兵隊たちは音楽を奏し、唄を歌いました。イワンは兵隊に村中を練り歩かせました。村の人々は胆をつぶしてしまいました。 やがてイワンは(だれにも来てはいけ…

イワンの馬鹿(24/61)

(475字。目安の読了時間:1分) 「何だってそうおばあさんを押すんだ。静かにしろ、そしたらもっとやる。」と言いました。そしてまたまきました。人々はイワンのぐるりを取りまいて拾いました。イワンは持っているだけ金貨をすっかりまいてやりました。人々…

イワンの馬鹿(23/61)

(519字。目安の読了時間:2分) そして踊りの仲間に入り、女たちに、「一つ私のために唄を唄ってくれ、そうすりゃ皆が生まれてまだ見たこともないものをやる。」と言いました。 女たちは大笑いしてイワンをほめたたえる唄を歌いました。そして唄がすむと、…

イワンの馬鹿(22/61)

(516字。目安の読了時間:2分) と小悪魔は言いました。「いいとも、いいとも。」とイワンは言いました。そして、棒で木の枝をこじて、小悪魔をは[#「をは」は底本では「はを」]なしてやって、「じゃ行け、神様がお前をお守り下さるように。」と言いまし…

イワンの馬鹿(21/61)

(497字。目安の読了時間:1分) ところが小悪魔がその枝にひっかかって、もがいているのを見つけました。イワンはびっくりしました。「おやおや、汚いやつめまた出て来やがったな。」とイワンは言いました。「いや、ちがうんです。私はあなたの兄さんのタラ…

イワンの馬鹿(20/61)

(524字。目安の読了時間:2分) が、今度もやはり同じ目にあいました。 イワンは、その日のうちに百本くらいは伐り倒すつもりでしたが、まだ十本も伐り倒さないうちに日も暮れかかり、疲れてすっかりへとへとになりました。イワンの身体からは、汗が湯気の…

イワンの馬鹿(19/61)

(529字。目安の読了時間:2分) そしてライ麦の刈あとでも、一つの穴を見つけました。「こりゃきっと仲間によくないことがあったにちがいない。」と小悪魔は考えました。「一つおれが代ってあの馬鹿を取っちめなくちゃならないぞ。」 そこで小悪魔は、イワ…

イワンの馬鹿(18/61)

(494字。目安の読了時間:1分) タラスはイワンを見て言いました。「おい、もう一度商売が出来るまでおれと家内を養ってくれ。」「いいとも、いいとも。」とイワンは言いました。「よかったら、いつまでもいなさるがいい。」 イワンは上着をぬいで、椅子に…

イワンの馬鹿(17/61)

(481字。目安の読了時間:1分) でないと折角のいい麦がだめになってしまう。これをもとの麦束に返す方法を教えてくれ。おれはこれから麦を落そうと思っているんだ。」 そこで小悪魔は言いました。「それはこうです。私の家来に命いつける兵隊よ兵隊よ、元…

イワンの馬鹿(16/61)

(509字。目安の読了時間:2分) あなたが命令を下しさえすればどんなことでもします。」「じゃ唄がうたえるかい。」「ええ出来ますとも、あなたが命令なさりさえすれば。」[#「。」」は底本では欠落]「よしよし、じゃ一つこしらえてくれ。」 すると小悪…

イワンの馬鹿(15/61)

(488字。目安の読了時間:1分) イワンは馬に草をやると、用意して妹と一しょに、ライ麦を運びにやって来ました。やがて麦束を積みはじめました。二束ほど車に投げ込んで、三束目を上げようとして熊手をつき込むと、その尖(さき)が、小悪魔の背中へ、突き…

イワンの馬鹿(14/61)

(601字。目安の読了時間:2分) イワンが鎌を持って行ってみると、れいのしっぽを切られた小悪魔は先に廻って麦を滅茶苦茶に乱しておいたので、また鎌がつかえなくなりました。それでイワンは家へ行って、別の鎌を持って来て、それで刈りはじめ、すっかりラ…

イワンの馬鹿(13/61)

(531字。目安の読了時間:2分) イワンは家へ帰って鎌をといでまた草を刈りはじめました。小悪魔は草の中へもぐり込んで、その鎌の先きを捉えて、切尖を地へ突っ込むようにしはじめました。イワンは、仕事が大へん骨折れると思いましたが、それでも秣場をす…

イワンの馬鹿(12/61)

(514字。目安の読了時間:2分) 彼はそこらあたりをさがし廻りましたが、仲間のすがたはみえないで、ただ一つ小さな穴を見つけました。「こりゃきっと仲間の上によくないことが起ったわい。するとおれがあいつの代りをしなくちゃならない。この畑はすっかり…

イワンの馬鹿(11/61)

(509字。目安の読了時間:2分) シモンはイワンを見ると、こう言いました。「おれはお前と一しょに暮すつもりでやって来たんだが、おれの主人が見つかるまでおれと家内をやしなってくれ。」「いいとも、いいとも。」とイワンは言いました。「どうぞいなさる…

イワンの馬鹿(10/61)

(505字。目安の読了時間:2分) そして、「この根を一本だけお上りなさい。これを召し上がればどんな病気だってなおらないことはありません。」と言いました。 イワンはそれを受取ると、根を一本むしり取って飲みました。腹痛はそれですぐなおりました。小…

イワンの馬鹿(9/61)

(496字。目安の読了時間:1分) とイワンは考えました。「木の根っこなんて一つもなかったのに、さてはやはりあったんだな。」 イワンは片手を畝へ突っ込んで、探りました。すると、何かやわらかいものにふれたので、それを引っ掴んで出しました。見るとそ…

イワンの馬鹿(8/61)

(534字。目安の読了時間:2分) おれは地面へもぐり込んでその鋤先を捉えた。が、鋤先にはいい捉えどころがない。あいつは一生けんめい[#底本では「い」が重複]鋤へ寄っかかる。おまけに鋤先は鋭く切れる。とうとうおれは手を切った。あいつはその畑をほ…

イワンの馬鹿(7/61)

(551字。目安の読了時間:2分) あいつのよくはいよいよひどくなって行って、何でも見るものごとに買いたくなるように仕向けてやった。それであいつはあり金をすっかりつかってしまい、なおさかんに買い込んでいる。もう大へん借金して買っている。一週間た…

イワンの馬鹿(7/61)

(551字。目安の読了時間:2分) あいつのよくはいよいよひどくなって行って、何でも見るものごとに買いたくなるように仕向けてやった。それであいつはあり金をすっかりつかってしまい、なおさかんに買い込んでいる。もう大へん借金して買っている。一週間た…

イワンの馬鹿(6/61)

(516字。目安の読了時間:2分) 両軍は向い合って陣をとった。ところがおれはその前の晩シモンの陣にある火薬をすっかりしめらせておき、また印度王の方にはかぞえ切れないほどの藁の兵隊をこしらえてやった。するとシモンの兵隊は、その大ぜいの藁兵にとり…

イワンの馬鹿(5/61)

(508字。目安の読了時間:2分) そしてあいつ等を仲たがいさせるまでは決して帰って来るな。でないとお前たちの生皮を引むいでしまうぞ。」 小悪魔たちは早速ある沼地へ行って仕事について打合せをしはじめました。そしてめいめいが一番割りのいい役を取ろ…

イワンの馬鹿(4/61)

(526字。目安の読了時間:2分) 二 ところが、それを年よった悪魔が見ていました。悪魔は、兄弟たちが財産の分け方でけんかをするだろうと思っていたのに、べつにいさかいもなく、仲良く別れて行ったので大へん腹を立てて、早速三人の小悪魔を呼び集めまし…

イワンの馬鹿(3/61)

(531字。目安の読了時間:2分) そこでやはり父親のところへ出かけて行き、「私にも私の分け前を下さい。」と言いました。 しかし父親はタラスにも分けてやりたくなかったので、「お前は、何一つ家へは持って来なかった。この家にあるものは、みんなイワン…

イワンの馬鹿(2/61)

(521字。目安の読了時間:2分) そこでシモンは父親のところへ行って言いました。「お父さん、あなたはお金持なのに私にはまだ何もくれませんでした。あなたの持ちものを分けてその三分の一を私に下さい。そうすりゃ私の領地の手入をすることが出来ますから…

イワンの馬鹿(1/61)

(507字。目安の読了時間:2分) 一 むかしある国の田舎にお金持の百姓が住んでいました。百姓には兵隊のシモン、肥満のタラスに馬鹿のイワンという三人の息子と、つんぼでおしのマルタという娘がありました。兵隊のシモンは王様の家来になって戦争に行きま…